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ARTBOX

ARTBOX(アートボックス、株式会社ARTBOX)は「有限会社東映アートボックス」を母体に、1990年に設立されたアニメスタジオ。

社としては「会社=作家」という考えを持っており、自ら起こした作品を売り込んでメディアミックスを成立させる手法を取っている。『暴走兵器 マリックス』以降はある種の権力を持つようになり、一部作品を除いて、版権表示はARTBOX単独である。

企業理念は「チーム&コミュニティ」。スタッフ・キャストとの強い協調性を持ってより作品作りを目指し、ファンイベントを積極的に開き、ファンの意見を積極的に取り入れることで、スクラムによるコンテンツ発展を行なっている。

会社概要

所在地東京都西東京市田無町2-7
設立1990年10月15日
従業員286名(契約社員含む/2008年5月現在)
資本金7億3100万円
売上(2008年度)188億6230万円
役員森聡行(執行役員社長)
鈴岡健次郎(代表取締役CEO)
高橋裕司(取締役副社長)
藤村靖宏(専務執行役員)
中山修(専務取締役)
網野義明(常務取締役)
森いずみ(常務取締役)
江澤竜一(常務取締役)
橋田憲章(取締役)
高橋佳美(取締役作画ルーム統括室長)
石川俊哉(取締役第4制作部長)
萩園敏之(取締役第6制作部長)
細井亜紀(執行役員)
成宮禎幸(執行役員)
川路正彦(執行役員)
岩瀬憲司(執行役員第1制作部長)
吉原尚喜(執行役員第2制作部長)
飯島昭宏(執行役員文芸部企画担当部長)
横田敏(執行役員デジタル事業部長)
黒部昌史(執行役員第3制作部長)
坂上宏一(執行役員第5制作部長)
林雅博(執行役員営業室長)
葛城政雄(監査役)
和田きよみ(監査役)
鈴木秀雄(相談役CCO)
事業内容アニメーション及び3DCGの企画・開発・制作
書籍、雑誌の企画・編集・発行
クリエイターマネージメント
各種コンテンツの企画・開発
主要取引会社東映
シンエイ動画
ジェンコ
クオラス
角川書店
小学館プロダクション
アニプレックス
フロンティアワークス
ムービック
ジェネオンエンタテインメント
ショウゲート
アサツー・ディ・ケイ
バンダイナムコホールディングス
連結子会社ACE STUDIO
スタジオ越後屋
関連会社A.T.O HOLDINGS

スタジオ

スタジオ分離以後の作品と所属スタッフは以下を参照のこと。
  • 第1制作部(旧:田無スタジオ
  • 第2制作部(旧:国分寺スタジオ
  • 第3制作部(旧:パパラッチスタジオ(杉並スタジオ)
  • 第4制作部(旧:ティムコムブースター)
  • ウエスト・ムーヴ/第5制作部
  • 第6制作部(旧:ティムコムキッズ/プリモプエルスタジオ)
  • 第7新潟スタジオ(新潟作画スタジオ/旧:ティムコムセカンド)
  • 伊豆下田スタジオ(保養施設のため、製作機能はない)

沿革

1984年6月17日、森聡行を中心とした東京造形大学映画研究会出身者とアニメーターとして活動していた古橋和哉と藤村靖宏が合流し、森聡行の父・豊二郎の紹介によって東映企画営業部所属の鈴木秀雄を社長に据え、東京都練馬区の東映本社に近くに「有限会社東映アートボックス」を設立したのが始まりである。当初はクリエイターの作業現場確保と映画制作スタッフ派遣業務が主だった。社名に東映の名前が入っている通り、出資・実質的運営は東映が担っていた。東映製作の映画の援助の傍ら、日本アート・シアター・ギルドと提携し、『革命学校』『渚のブルー・ライト』(森聡行監督)『ドリームランドに恋をして』(郷田和久監督)といった低予算映画を送り出し、若者の支持を受ける。アニメ制作班は東映動画(現・東映アニメーション)に出向して、研修を受けながら作画や進行を務めていた。

アートボックスの大きな改革は1986年の動画部設立である。本格的な商業作品を作りたいと考えた森は以前から強い関心を持っていたアニメーションという表現方法を選択。森のやる気に心打たれた、東映動画社長(当時)の今田智憲は出資・プロデュースを決定。森が以前から心惹かれていた「銀河を走る鉄道」を題材に『星空鉄道の少年』を製作。1987年12月15日に公開された本作は観客動員数30万人を記録し、興行収入で健闘。事実上成功を収めた本作を礎に鈴木はアートボックスの主要業務をアニメーションに切り替えた。その後しばらくは東映動画、東京ムービー作品のグロス請けを手掛ける。この頃、実写班は日本アート・シアター・ギルドの弱体化に伴い、東映の支援を受けながら郷田和久を中心に独自に作品を製作するようになる。

1990年10月15日、東映からの資本金を返上し、事実上独立。「株式会社ARTBOX」に改組した。その年、テレビ朝日プロデューサーの小泉美明の誘いによって自社企画原作のTVアニメーションシリーズが制作決定。1991年4月に放送開始された『わたの子チックの冒険』は親子を中心に支持され、安定した視聴率を獲得。同時にグロス制作拠点であるひばりヶ丘スタジオ、作画分室・北原町スタジオを設立。

1995年ごろからアニメ制作システムは大手に引けを取らない規模に成長。1996年、北原町スタジオを閉鎖し、杉並分室を設置。演出の高橋裕司が中心となったため「アニメオフィス・タカハシ」と呼称された。

東映動画に影響され、デジタルプロセスもいち早く導入した。アニメーターの横田敏がCGの奥深さに感心し、1997年3月にCG制作部門「デジトリック」を設置。3DCG・デジタル彩色・デジタル撮影を担う。1998年1月、田無市(現・西東京市)に美術・仕上げ・デジタル作業・編集までを一貫して賄える総合スタジオを設置し、業務の拠点となる。同年4月、ひばりヶ丘スタジオを閉鎖。

2000年4月、杉並分室が分派し「株式会社ティムコム」として法人化。それと同時にデジトリックも一部彩色・撮影スタッフをティムコムに異動させ、3DCG専門スタジオとなる。ARTBOX本体にも1998年12月にに仕上げ部門を完全デジタル化。残った撮影スタッフは、森豊二郎によって設立された「モリフィルム」に異動された。同年10月には新座スタジオが新設される。

2001年に放送された『暴走兵器 マリックス』が大ヒットし、一大ブームを巻き起こす。その独自の世界観と設定は多くのファンを虜にし、さまざまな論議を巻き起こした。また、関連商品の売り上げも軒並み好調で、2003年冬に公開された劇場版も興行収入50億円を突破した。ARTBOX史上最大のヒット作品となる。また劇場版製作前に業務拡大のため、2001年12月に国分寺市に録音スタジオとデジタル撮影部門を擁した制作スタジオを落成。2003年8月、A.T.O HOLDINGS設立による社内改革により、新座スタジオを「株式会社LIVE.A」として法人化、独立。

2003年、企画書作成・脚本・デザイン請負のために企画室を設置。しかし、数年でデザイン関係のスタッフの多くが独立・現場復帰したため、デザイン請負業を廃し、2007年に文芸部として再出発する。

2007年2月、ARTBOXチーフプロデューサー・小林元喜が独立し、所属スタッフを引き抜いてオーバー・ラインを設立。同年5月、ティムコムの萩園敏之プロデューサーとコミックス・ウェーブから転職した大濱伸和が中心となって、フリースタッフを招聘した独自の制作体制を整えるためのスタジオ「WEST MOVE」を西東京市北原町に設立。

2008年11月にフィリピン現地法人「P.A.C Animation(パックアニメーション)」を設立。人材枯渇が進む中、国内では優秀なアニメーターの育成と厳格なチェック・修正体制によるクオリティ維持に専念。動画・仕上げ・背景の工程をデジタルデータ化し、電送を利用して、人件費の削減と製作時間の短縮を進めている。P.A.Cは「Philippines Artbox Corporation」の略称である。同時に、素材管理に関してもIC化を順次進めている。

2009年3月、二度目の大規模な社内改革が行われ、ティムコムがARTBOXに吸収合併され、再編。6つの制作スタジオと新潟の作画専門スタジオでラインを整える。また、株主総会の決議の更なる迅速化、ならびにより合理的な経営を目指すため、森聡行らクリエイター側の取締役はすべて執行役員となった。今後は枯渇していく人材の確保・養成と、外部とのコラボレーション、インターネットと共存した新たなコンテンツ販売を行っていく。

2009年4月より、ARTBOX設立20周年記念事業を開始。記念作品として、ARTBOX名義では13年ぶりの原作となる『よつばと!』と『華麗なる食卓』を放映。同時期にコナカ跡地を再利用した西東京市の新社屋に制作・作画・演出部門を移転し、1階部分に駐車場とカフェギャラリー併設型グッズショップ「@@SHOP(ダブルアットショップ)」を設置する。旧本社ビルは事業部・美術部・デジタル事業部として引き続き使用され、国分寺と杉並のテナントからは撤退した。

特徴

  • スタッフの個性を重んじた制作環境と良好な雇用形態は多くのクリエイターの虜にし、『暴走兵器マリックス』以降、志願者は常に募集人数を超え、アニメーターに至っては競争率が10倍前後となっている。こうした社風がARTBOXの良質な作品システムを維持し、優秀なクリエイターが育っていると言える。

  • 田無、国分寺、杉並で独立採算制を引いており、それぞれで企画制作を行なっている。田無と国分寺は相互交流として、1クールに1回、互いの作品をグロス請けしている。

  • ARTBOX作品の9割が自社企画のオリジナル作品なのは、アニメ終了による原作潰しを回避するため、自社作品によって生まれた利益を社員に還元するため、社員自身の企画を反映するためというのが理由となっている。常に高いクオリティで制作しているARTBOXに原作ものの制作を希望する声はファン・関係者問わず絶えないが、森はとある講演会で「安易にコンテンツを消費するより、自らコンテンツを生み出して会社とクリエイターをアピール出来た方がいい。原作者に毎回支払わなければならない相場15〜20万円の使用料の損失をはじめ、原作によって生まれた利益はアニメ現場にはほとんど還元されない。自社で権利を持って利益を生めば、クリエイターの更なる活性化とアピールになる。ARTBOXはコンテンツを大量消費する現代のアニメ制作システムのアンチテーゼでありたい」と語っている。

  • A.T.O HOLDINGSに業務を委託する形で版権を管理する部署を持っているが、ファン活動に関しては悪質なもの以外は比較的制限が緩く、動画共有サイトを用いたネット配信なども積極的に行っている。同業他社であるサンライズと比べると、かなりクリエイター・カスタマー主義といえる。

  • 所属スタッフは20代〜30代前半と平均年齢が低い。また、森聡行の方針で、ベテランスタッフが支える形で若手スタッフをメインに据えたり、女性の演出家やプロデューサーを積極的に登用することも特徴の一つである。

  • シナリオの重要性の認識から、他社ではすっかり消極的になった社内文芸部での脚本家養成を近年積極的に行なっている。飯島昭宏の手によって、これまで浅井和人、柏原タマゴ、吉澤健司を生み出しており、その姿勢は脚本家や業界関係者から高く評価されている。また、ARTBOXに設置されている「文芸」は脚本管理のほか、番組連動ラジオの構成、ライター見習いの意味合いも持つ。

  • ほぼすべての部署の人材を拘束料込みの業務委託契約社員として囲む体制を創立当初から行ってきた。フリーをほとんど中に入れないこのシステムは、以前から同業他社から非難されていた。しかし、年々業界全体の人材枯渇から優秀な人材の取り合いになっていく中で、ARTBOXは教育システムを内部で確立させ、優秀な人材を囲んできたため、単価設定と人材確保を容易にし、合理化したスタッフマネージメントを行うことに成功している。

制作スタイルに対する評価

ARTBOX作品は総じて作画・演出・脚本・CGの技術が高く、高クオリティな制作スタイルを維持していることは評価されている。その一方で、制作側の趣向が多分に影響された作品も少なくない。しかし、基本的にはユーザーを意識した演出を積極的に行なっていることから、大きなアンチは生み出していない希有なスタジオと言える。

ARTBOXはアダルトコンテンツ製作においても極めて積極的で、アダルトアニメブランド「スタジオ越後屋」を公にし、年12本ペースで制作している。大手制作会社がこういった姿勢を見せることに否定的意見はあるものの、「(裸を描くことで作画能力を向上させる)新人教育の要素」ならびに「経営における補助産業」として2009年現在も同事業を継続する意向を示している。

動画共有サイトによる違法アップロードや同人活動に関しては比較的寛容である。鈴岡代表取締役の説明によると、動画共有サイトに関しては、2006年のYouTube、2007年のニコニコ動画がそれぞれ頭角を現した頃は版権管理部が厳しく削除要請していたが、動画共有サイトサービスの想定外な肥大化・複雑化で徹底した削除要請がままならなくなったことと、動画共有サイトを潰すのではなく利用する方向でビジネスを行えば、必ずしも自社コンテンツの不利益になるとは限らないと判断したため、一時期に比べて削除基準は緩くなっているという。

作品リスト


主要スタッフ

2009年09月01日(火) 02:14:45 Modified by sak3916