情報通信技術(Information and Communication Technology、以下ICT)の発展によりインターネットが社会基盤として広く認知されるに至った今日、皮肉なことに、その発展を支えてきたICT産業に変調の兆しが見られるようになった。既に、音声やデータ通信サービスは低価格化への道を辿り、システム・インテグレータは受託案件数の減少と案件規模の縮小に悩まされ、ハードウェア・ベンダーは製品価格の低廉化と販売数量の伸び悩みに苦しみ、大型量販店は流通パッケージ・ソフトウェアの売場面積を縮小し、何処を見てもICT事業に往年の趨勢を見ることはできない。それどころか寧ろ衰退の道を辿っているようにすら見えてしまう。インターネットという社会基盤の上では、新しい産業が次々と育ち始め、また多くの既存産業がそのビジネス・モデルをインターネット上に再構築し、新たな展開を始めているにも関わらず、インターネット基盤技術やサービスを提供して、その発展に多大な貢献をしてきたICT産業自身が、インターネットを社会基盤とする時代の変化に対応できず足搔き苦しんでいるように思われる。
事実、ICT事業者の多くが、パソコン、サーバ、ネットワーク機器等のハードウェア販売や、基本ソフトウェア、データベース、各種パッケージ・ソフトウェア等のライセンス販売といった既存の物流ビジネスから脱却できず、依然としてその売上げの多くを物流再販というビジネス形態に依存したままでいる。1990年代末には、多くのICT事業者がASP(Application Service Provider)というサービス・ビジネス・モデルに関心を寄せたが、いわゆるドットコム・バブルの崩壊により出鼻をくじかれ、その後の景気の回復基調の中でも大きな伸展を見せることなく、ICT市場でのASPへの関心はすっかり薄れてしまった。ところが、一昨年、そのASPに代わるものとしてSaaS(Software as a Service)という考え方が市場に紹介されるや否や、既存のASP事業者は言うに及ばず、通信事業者、ハードウェア・ベンダー、ソフトウェア・ベンダー、システム・インテグレータ、そしてICT製品流通事業者までも、誰も彼もがSaaS事業参入への強い関心を示すに至った。これは、ICT事業者自身が、その取扱い製品のコモディティ化そしてユーティリティ化への兆しを日常の事業環境の変化の中に見出し、これまでの自身の事業の先行きに不安を感じていることを物語っている。このように、ICT事業そのものが、新たなビジネス・モデルを求めて変革の時代に突入したことは誰の眼にも明らかである。
SaaSすなわちSoftware as a Serviceは、その名が示す通りサービス・ビジネスであり、ICT事業者がこれまで行ってきた物流主体のハードウェアやソフトウェア・ライセンスの販売ビジネスとは明らかにその性質が異なる。したがって、それぞれのICT事業者が、それぞれの製品やサービスをオンライン、オンデマンド提供可能にし、その課金体系を月額課金や従量課金体系に変更したからといって、既存の物流主体の販売体制で売れることが約束されるものではない。このことは誰の眼にも明らかであるにも関わらず、誰もこの問題に対する解を提示できずにいるのが現状である。そして、これこそが、今日我国の市場でSaaS事業がなかなか離陸出来ずにいる最大の原因である。SaaS事業に参入を図る私たちICT事業者にとって大切なことは、その新たなICT基盤技術を個々に理解する努力を払うことに留まらず、SaaSビジネス・モデルが既存のICTビジネス・モデルとは多くの面で対立、矛盾するビジネス・モデルであり、業種間障壁を乗り越えた新たな事業提携および流通・販売体制の構造的改革なしに振興することは困難であるという事実認識を共有し、来るべきICTビジネス・パラダイムシフトの高波に備え、新たなビジネス・スキームの構築に挑むことである。
SaaS事業を、これまでのハードウェアおよびソフトウェア事業のすべてをクラウド上に移行させ、オンデマンド・サービス・モデルとして再構築することであると理解するならば、自ずとその将来展望が見えて来る。ハードウェア環境は仮想化されてクラウド上に構築され、論理的なサーバがクラウド上で売買されるようになり、物理的なサーバはユーザの目の前から消え去る。ソフトウェア開発環境、運用環境はクラウド上の論理サーバ・ファーム上に構築され、すべてオンデマンド・サービスとして提供される。そこで開発されたソフトウェアは、クラウド上に構築されたマーケットプレイスを通じてオンデマンド・サービスとして配信される。また、マーケットプレイスから個々のユーザの業種や規模に合ったサービスを選択的に仕入れ、バンドリングを行って再販する役割を果たす小売店舗機能もサービスとして提供される。さらに、これらのオンデマンド・サービスを利用するために必要なユーザ組織要員を管理する機能もサービスとして提供され、これらのオンデマンド・サービスを利用する人々のためのサポートもサービスとして提供されなければならない。今、私たちICT 事業者に求められるのは、単にこのようなSaaS事業環境を個々独立に構築しようとするのではなく、ICT業界がこれまで積み上げてきた土塁を超えてICTユーザと共にSaaSビジネス・エコシステムをクラウド上に築き上げることである。
私たちSaaSパートナーズ協会設立発起人は、SaaS事業に参入を図る多くのICT事業者が現在直面している閉塞状況を突き崩し、将来の重要な社会基盤の一つとしてSaaS事業を市場に定着させるため、その本質的な理解と事業方向性を共有しつつ、会員各自が保有する基盤技術、基本サービス、事業経験および知識を相互に提供し合い、私たちが理想とするSaaSビジネス・エコシステムをクラウド上に構築し、互恵の精神に則って、我国SaaS市場の健全な振興と育成活動を長期に渡り継続的に行うことを目的として、営利、非営利の壁を超えた各種企業、団体等を会員として募り、任意団体として組織化することをここに宣言する。
平成21年11月吉日
SaaSパートナーズ協会設立発起人
株式会社きっとエイエスピー 代表取締役社長 松田 利夫
事実、ICT事業者の多くが、パソコン、サーバ、ネットワーク機器等のハードウェア販売や、基本ソフトウェア、データベース、各種パッケージ・ソフトウェア等のライセンス販売といった既存の物流ビジネスから脱却できず、依然としてその売上げの多くを物流再販というビジネス形態に依存したままでいる。1990年代末には、多くのICT事業者がASP(Application Service Provider)というサービス・ビジネス・モデルに関心を寄せたが、いわゆるドットコム・バブルの崩壊により出鼻をくじかれ、その後の景気の回復基調の中でも大きな伸展を見せることなく、ICT市場でのASPへの関心はすっかり薄れてしまった。ところが、一昨年、そのASPに代わるものとしてSaaS(Software as a Service)という考え方が市場に紹介されるや否や、既存のASP事業者は言うに及ばず、通信事業者、ハードウェア・ベンダー、ソフトウェア・ベンダー、システム・インテグレータ、そしてICT製品流通事業者までも、誰も彼もがSaaS事業参入への強い関心を示すに至った。これは、ICT事業者自身が、その取扱い製品のコモディティ化そしてユーティリティ化への兆しを日常の事業環境の変化の中に見出し、これまでの自身の事業の先行きに不安を感じていることを物語っている。このように、ICT事業そのものが、新たなビジネス・モデルを求めて変革の時代に突入したことは誰の眼にも明らかである。
SaaSすなわちSoftware as a Serviceは、その名が示す通りサービス・ビジネスであり、ICT事業者がこれまで行ってきた物流主体のハードウェアやソフトウェア・ライセンスの販売ビジネスとは明らかにその性質が異なる。したがって、それぞれのICT事業者が、それぞれの製品やサービスをオンライン、オンデマンド提供可能にし、その課金体系を月額課金や従量課金体系に変更したからといって、既存の物流主体の販売体制で売れることが約束されるものではない。このことは誰の眼にも明らかであるにも関わらず、誰もこの問題に対する解を提示できずにいるのが現状である。そして、これこそが、今日我国の市場でSaaS事業がなかなか離陸出来ずにいる最大の原因である。SaaS事業に参入を図る私たちICT事業者にとって大切なことは、その新たなICT基盤技術を個々に理解する努力を払うことに留まらず、SaaSビジネス・モデルが既存のICTビジネス・モデルとは多くの面で対立、矛盾するビジネス・モデルであり、業種間障壁を乗り越えた新たな事業提携および流通・販売体制の構造的改革なしに振興することは困難であるという事実認識を共有し、来るべきICTビジネス・パラダイムシフトの高波に備え、新たなビジネス・スキームの構築に挑むことである。
SaaS事業を、これまでのハードウェアおよびソフトウェア事業のすべてをクラウド上に移行させ、オンデマンド・サービス・モデルとして再構築することであると理解するならば、自ずとその将来展望が見えて来る。ハードウェア環境は仮想化されてクラウド上に構築され、論理的なサーバがクラウド上で売買されるようになり、物理的なサーバはユーザの目の前から消え去る。ソフトウェア開発環境、運用環境はクラウド上の論理サーバ・ファーム上に構築され、すべてオンデマンド・サービスとして提供される。そこで開発されたソフトウェアは、クラウド上に構築されたマーケットプレイスを通じてオンデマンド・サービスとして配信される。また、マーケットプレイスから個々のユーザの業種や規模に合ったサービスを選択的に仕入れ、バンドリングを行って再販する役割を果たす小売店舗機能もサービスとして提供される。さらに、これらのオンデマンド・サービスを利用するために必要なユーザ組織要員を管理する機能もサービスとして提供され、これらのオンデマンド・サービスを利用する人々のためのサポートもサービスとして提供されなければならない。今、私たちICT 事業者に求められるのは、単にこのようなSaaS事業環境を個々独立に構築しようとするのではなく、ICT業界がこれまで積み上げてきた土塁を超えてICTユーザと共にSaaSビジネス・エコシステムをクラウド上に築き上げることである。
私たちSaaSパートナーズ協会設立発起人は、SaaS事業に参入を図る多くのICT事業者が現在直面している閉塞状況を突き崩し、将来の重要な社会基盤の一つとしてSaaS事業を市場に定着させるため、その本質的な理解と事業方向性を共有しつつ、会員各自が保有する基盤技術、基本サービス、事業経験および知識を相互に提供し合い、私たちが理想とするSaaSビジネス・エコシステムをクラウド上に構築し、互恵の精神に則って、我国SaaS市場の健全な振興と育成活動を長期に渡り継続的に行うことを目的として、営利、非営利の壁を超えた各種企業、団体等を会員として募り、任意団体として組織化することをここに宣言する。
平成21年11月吉日
SaaSパートナーズ協会設立発起人
株式会社きっとエイエスピー 代表取締役社長 松田 利夫
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