日本の周辺国が装備する兵器のデータベース



▼公試中の一番艦「舟山」


▼建造中の054A型



▼艦橋付近のアップ。81型対潜ロケット 、AK-176 76mm砲、HQ-16SAM用の垂直発射装置などの兵装が確認できる。


▼建造前に公開された模型。艦載砲が非ステルスシールドの100mm単装砲になっているなど細部に相違が見られる。


性能緒元(推定あり)
満載排水量 約4,000〜4,500t
全長 132m
全幅 16m
主機 CODAD 2軸
  SEMT-PIELSTICKディーゼル 4基(42,000馬力)
速力 27kts
航続距離 3,800nm/18kts
乗員 190名

【兵装】
対空ミサイル HQ-16艦対空ミサイル(HHQ-16/紅旗16/海紅旗16) / VLS(8セル) 4基
対艦ミサイル YJ-83(鷹撃83/C-803)/ 4連装発射筒 2基
魚雷 YU-7 324mm短魚雷 / 3連装発射管 2基
対潜ロケット 81型対潜ロケット / RBU-1200 6連装発射機 2基
AK-176 60口径76.2mm単装砲 1基
近接防御 730型30mmCIWS 2基
搭載機 Ka-28対潜ヘリコプター(ヘリックス) もしくはZ-9C対潜ヘリコプター 1機

【電子兵装】
3次元対空レーダー フレガートMAE-5(Top Plate-B) 1基
対空/水上レーダー 346型(MR-36A) 1基
火器管制レーダー MR-90(Front Dome) SAM用 4基
  MR-331(Band Stand) SSM/砲用 1基
  344型(MR-34) SSM/砲用 1基
航海レーダー RM-1290(Racal Decca) 2基
戦闘システム ZKJ-7(ZKJ-4B/6説も有る)  
電子戦システム 922-1型レーダー波警戒装置  
  HZ-100艦載ECCM装置  
  ELINTシステム
チャフ/フレア発射装置 726-4型18連装デゴイ発射機 2基
ソナー
衛星通信用レドーム 1基

【建造までの経緯】
054型フリゲイト(ジャンカイ型/江凱型)は、次世代フリゲイトに必要な各種新技術を実証するための試験艦としての性格を有しており、そのため建造数は2隻に留まった。この054型に続いて中国が建造したのが054A型フリゲイト(NATOコードネームはJiangkai-II型 )である。054A型は、054型で得られた成果を反映した発展型と位置づけることが出来る。

054A型の存在は、2005年の上海国際海事展覧会で展示された縮小模型によって初めて公にされた。同年、上海で一番艦の建造が開始されている。一番艦は、2006年10月12日に進水し、2007年6月には公試が行われ、2008年1月に「舟山」として就役した。

【船体構造】
054A型の船体や基本的な配置はタイプシップである054型を踏襲しているが、電子装備の増加やHQ-16用VLSの装備のため艦幅が1m、排水量が数百t増加している。船体設計は054型で取り入れられたステルス対策が施されている。対レーダー・ステルスのために舷側はV字型に8.5度傾斜しており、上部構造物は逆方向に傾斜させるため、艦首から艦尾まで全通するナックル・ラインを設けている。満載排水量は4000tを超えた(一説には4,500t)が、これは中国のフリゲイトとしては最大であり、051型駆逐艦(ルダ型/旅大型)を超えて052型駆逐艦(ルフ型/旅滬型)に迫る規模である。船型のL/B値は約8.8とかなり幅広になっており、これは航洋性を向上させるだけでなく、艦内の容積を増加させることで兵装もより余裕を持って搭載することが可能になり、乗員の生活環境も改善された物と推測される。

主機はディーゼル4基で、機種についてはフランス製のピールスティック、もしくはドイツのMTU1201163-TB92の2つの説がある。最高速度は27〜28kts、航続距離は18ktsで3,800nm。

【兵装】
兵装面でのタイプシップとの最大の変更点は、艦橋前にあったHQ-7対空ミサイルの8連装発射機が、アメリカのMk41 VLS(Vartical Lunch System:垂直発射システム)に似た方形の32セルVLSになった点である。これまで中国海軍が装備しているVLSは、旅洋II型駆逐艦(052C型)のHQ-9対空ミサイル用円形VLSしか知られていなかった。このVLSに搭載されるミサイルは、中国がロシアの9M-38Mヨズ(SA-N-12 Grizzly)艦対空ミサイルを基にして開発したHQ-16艦対空ミサイル(HHQ-16/紅旗16/海紅旗16)である。

HQ-16の主要項目は以下の通り。全長5.5m、直径40cm、翼幅86cm、ミサイル重量715kg。弾道部重量は70kgで、半径18m以内の目標を撃破可能。ミサイルの最大射程は42km、射高10〜17,000m、最大速度マッハ4、最大荷重24G。HQ-16は、特に超低空から飛来する目標や、ポップアップ式対艦ミサイルに対する迎撃能力を重視しており、シークラッターの強い低空域での目標探知能力の向上が図られている。一目標に対して二発のミサイルを発射した場合、目標が航空機であれば96%の、対艦ミサイルに対しては86%の目標撃破確立を有しているとされる。航空機や対艦ミサイル以外に、UAV、巡航ミサイル、ヘリコプター、戦術弾道弾などの目標に対する迎撃能力が付与されている。

HQ-16は、発射セル8基を方形に配置して組み合わせたVLS(Vartical Lunch System:垂直発射システム)に装填されている。054A型の場合、32セルのHQ-16用VLSを艦橋直前の区画に搭載している。中国海軍では、HHQ-9A艦対空ミサイル(HQ-9A/海紅旗9A/紅旗9A)、5V55RM艦対空ミサイル(S-300F/リフM/SA-N-6グランブル)に続く、3つめの垂直発射式艦対空ミサイルになるが、前二者がVLSからガス圧で打ち上げた後にロケットモーターに点火するコールド・ローンチ方式を採用しているのに対して、HQ-16はVLS内部でモーターに点火するホット・ローンチ方式を採用している点が異なる。ロシアも9M-38Mの改良型9M317MEミサイル(シュチーリ1)でVLSを採用しているが、HQ-16のVLSとは形状が異なることから、HQ-16のVLSは中国で開発された物と推測される。

ミサイルの誘導方式はセミアクティブ・レーダー誘導方式を採用している。目標の追尾とミサイルの管制誘導は、HQ-16の原型となった9M-38Mと同じく、MR-90オリェーフ(NATOコード:Front Dome/フロントドーム)レーダーによって行われる。MR-90は、054A型フリゲイトに合計4基が装備されており、艦の全方位に対して死角を作らないように配置されている。054A型はMR-90を4基装備しているので、理論上は同時に4つの航空目標にミサイルを指向できることになる(実際には各レーダーの死角があるので不可能な場合もあるが)。054A型の防空システムは同時に8目標に対処する能力があるとのこと。

054A型は、艦の中央部にYJ-83(鷹撃83/C-803)対艦ミサイル4連装発射機を2基搭載している。YJ-83は、近年中国海軍に就役した多くの水上戦闘艦艇に搭載されており、中国海軍の標準的な対艦ミサイルの地位を占めている。YJ-83は約200kmの射程をもち、ヘリコプターや航空機に搭載されたレーダーから得た情報をデータリンクで飛行中に受け取って中間軌道を修正するアップデート機能を有するのが特徴である。また飛行速度は高速になり、最終段階ではマッハ1.5まで加速する。YJ-83の中間誘導は艦橋上のレドームに収納されたMR-331(Band Stand)によって行われる。

砲兵装としては、建造前に公開された054A型の模型ではT-100C 100mm砲が搭載されていたが、実際にはロシア製AK-176 76.2mm単装砲をベースに開発された中国製76mm単装砲に変更されたことが判明した。76mm砲への装備変更の要因としては、HQ-16用VLSの搭載により艦前方の重量が増加したため、その代償として艦砲の小型化が行われたと見られている。76mm砲の管制は、前部マスト基部の344型(MR-34)管制レーダーによって行われるが、電子妨害に備えて光学照準を行うためのOFC-3光学電子照準装置も装備されている。

タイプシップの054型ではCIWS(Close-In-Weapon System:近接防御システム)として、ロシア製のAK-6304基を装備していたが、054A型ではより発射速度の高い730型CIWS2基に変更されている。051C型駆逐艦も730型CIWSを搭載している事が判明しており、今後中国海軍大型艦艇のCIWSは730型で統一されていくだろう。

対潜兵器としては、艦首部に81型対潜ロケット/RBU-1200 6連装発射機2基、中央船楼部に3連装短魚雷発射機2基を装備している。短魚雷発射機は普段は艦内に収納されており外部から確認する事はできない。使用時には、舷側部の開口部を開いて投射する。

艦後部には、艦載ヘリの格納庫と発着スペースが設けられており、Ka-28対潜ヘリコプター(ヘリックス)もしくはZ-9C対潜ヘリコプター1機を搭載する。

【電子装備】
054A型では、ロシア製電子装備を多数導入しており、同型の特徴の1つとなっている。マスト上にはロシアが開発したフレガートMAE-5三次元レーダーが搭載されているが、これはソブレメンヌイ級駆逐艦や旅洋I型駆逐艦(052B型)が搭載しているMR-750MA(NATOコード:トッププレートB/Top Plate-B)三次元対空レーダーの出力強化型。最大探知距離は300km、戦闘機大の目標であれば230km、対艦ミサイルの場合50kmの距離で探知が可能。二枚のレーダーを背中合わせに搭載しているのが特徴で、平時体制では毎分6回転し、脅威度の高い海域では毎分12回転して目標の探知を行う。二秒に一回データの更新を行い、20目標を同時に追跡できる。054型は同じ場所に363S型(TSR-3004 SEA-TIGER)対空レーダーを装備していたが、054A型では、エリア・ディフェンス用中距離艦対空ミサイルを運用するため、より高性能の三次元レーダーが必要となりフレガートMAE-5に変更することになったと見られる。

艦橋上部のレドームはSSM管制用のMR-331 Mineral-ME(NATOコード:バンドスタンド/Band Stand)火器管制レーダー。こちらもロシアで開発されたレーダーである。MR-331は、ME2アクティブ/パッシブ併用式レーダーとME3デジタルデータリンク装置から構成されている。アクティブ・レーダーモードでは250km以内の50目標を同時に追尾、パッシブモードでは450kmまで探知可能。MR-331の情報処理システムは200目標の情報を同時に処理できる。目標探知方式の使用率では、アクティブ式が20%、パッシブ式が60%、ヘリコプターによる探知が20%とされる。

中国語文献によると、MR-331は超水平線(OTH)レーダー機能を有しており、水平線外の目標の探知と目標識別、ミサイルの目標への誘導が可能であり、YJ-83の最大射程を十分に活かすことができる性能を持っているとされる[1]。054A型は、MR-331をSSM管制用に使用する事で、これまで水平線外の目標探知にヘリコプターを使用する回数を減少させ、対潜活動など他の任務に充当させることが出来るようになった。

煙突と一体化した後部マスト頂部には対空/水上用レーダー346型(MR-36A)が搭載されている。346型はフレガートMAE-5の補助や、730型30mmCIWSに探知した目標情報を提供する役割を担っている。煙突中部にはMR-331 Mineral-MEレーダーのME3デジタルデータリンク装置用レドームが左右に各1基ずつ設置されている。

これらの兵器・探知システムを統制する054A型のZKJ-7(ZKJ-4B/6)戦闘システムは、中国第三世代の戦闘システムであり、高い情報処理能力を有している。作戦指揮系統は分散配置されており、システムの一部が破損しても問題ないようになっている。各装置は光ファイバーで接続されており、これまでの戦闘システムよりも多くの情報量を一度に伝達することが出来る。データリンク機能により他の艦艇との情報の共有を行うことも可能。

電子妨害装置としては、922-1型レーダー波警戒装置、HZ-100艦載ECCM装置、ELINTシステム、726-4型18連装デゴイ発射機などが用意されている。

054A型のソナーに関する情報は現時点では余り多くない。艦首部にバウソナーを設置しているが、曳航式ソナーは装備していない。

【総括】
054A型は、沿岸防備艦艇としての性格が強い従来の中国海軍のフリゲイトの枠を超える能力を有しており、中国海軍の外洋艦隊志向を反映する艦である。

特に対空能力の強化に意が払われており、HQ-16艦対空ミサイルの装備により中国のフリゲイトとしては初めてエリア・ディフェンス防空能力を獲得している。従来、経空脅威に対して脆弱であった中国海軍は21世紀に入ってからエリア・ディフェンス艦の整備を進めてきたが、054A型の存在も中国海軍が洋上における艦隊防空能力の強化を最優先の課題とし続けていることを表す事例であるといえる。

054A型は、1970〜80年代に建造された051型駆逐艦(ルダ型/旅大型)053H型フリゲイト(ジャンフーI型/江滬I型)シリーズを更新する中国海軍の主力フリゲイトとして整備されていくものと思われる。054A型は、現在上海の滬東造船廠と広東省広州の黄埔造船廠で合計8隻の建造が確認されている。なお、5番艦以降は改良型の054B型になるとの説もあったが、2010年2月段階では054A型の建造が継続している。

1番艦 舟山 Zhoushan 529 上海滬東造船廠で建造。2006年12月21日進水。2008年1月3日就役。東海艦隊所属。
2番艦 徐州 Xuzhou 530 広州黄埔造船廠で建造。2006年9月30日進水。2008年1月27日就役。東海艦隊所属。
3番艦 巣湖 Chaohu 568 上海滬東造船廠で建造。2007年5月23日進水。2008年6月30日就役。南海艦隊所属。
4番艦 黄山 Huangshan 570 広州黄埔造船廠で建造。2007年3月18日進水。2008年就役。南海艦隊所属。
5番艦 運城 Yuncheng 571 広州黄埔造船廠で建造。2009年2月28日進水。2010年1月就役。南海艦隊所属。
6番艦 玉林 Yulin 569 上海滬東造船廠で建造。2009年4月28日進水。2010年2月1日就役。南海艦隊所属[2]。
7番艦 - - -  
8番艦 - - -  

【参考資料】
Jane's Defence Weekly
世界の艦船(海人社)
艦載兵器ハンドブック改訂第2版(海人社)
艦載武器 2007年5月号(No.93)「従「江湖」到「江凱」-中国海軍現代護衛艦研制的躍変」(衛天/中国船舶重工業集団公司)
艦載武器 2007年12月号「海上防空新盾-“江凱”改型導弾護衛艦」(王浩/中国船舶重工業集団公司)
艦載武器 2008年2月号(No.102)「江凱改型護衛艦及其後続艦展望」(羅世偉/同上)注[1]

Chinese Defense Today
China Defense Blog
Kojii.net
MDC軍武狂人夢
Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
中華網「最新消息:054A新護529和530已正式命名!」
中華網「官洩:054A首艦叫”黄山”」
新浪網「中国海軍最新568巣湖号護衛艦加入南海艦隊」(2008年7月14日)
新浪網「南海艦隊接収最新054A級569号玉林号護衛艦」(2010年2月3日)注[2]

【関連項目】
054型フリゲイト(ジャンカイ型/江凱型)
中国海軍

中国海軍
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