バリデーションにおける注意点
モデルシミュレーション結果と実測データとのバリデーションにおける注意点
野外調査で得られた毎木データは、調査グループや調査地によって対象となる樹木の対象サイズが異なる。対象サイズは、主に樹高で分けられる場合と胸高直径(DBH)で分けられる場合の2通りがある。おそらく目測で判断しやすいことから、数十cm〜数m以上といった樹高で対象木を選定する場合が多い。私も現在3調査地約80プロットのデータを管理しているが、対象木の基準は樹高2m以上、樹高5m以上、DBH4cm以上とさまざまである。したがって、他の調査地間で実測のデータを比較する場合、対象木の基準を統一する必要がある。特に、現存量や密度、材積、サイズ構造、種多様性など林分全体のデータ管理する上で注意が必要である。結局は、比較する調査地間で最も樹高あるいはDBHが大きいものに統一する。もし、対象木の基準が樹高や胸高直径と異なる場合は、樹高と胸高直径間の相関関係を見ながら最適と思われる基準を決めることになる。これらの手順は、モデルシミュレーション結果と実測データ間でバリデーションを行う事前準備として最も重要であり、面倒でもある。
モデルシミュレーションにおけるモデル上で想定する樹木サイズは、実測データの対象木の基準により決定する。しかし、実測データの対象木サイズとモデル上で想定する樹木サイズの基準は、必ずしも統一はしない。なぜなら、実際の調査プロットでは、対象木以下の個体も多く存在しているからである。したがって、モデル上での想定する樹木サイズは、実測データでの対象木サイズより小さく設定する。その後、バリデーションや解析をする際に、シミュレート結果得られる個体データを実測データの基準で区分する。ただし、この作業がモデルシミュレート後可能なのは、個体ベースのシミュレーションモデルのみである。林分ベースのモデルでは、事前に対象木を決定しなければならないため、不可能だろう。
また、対象木のサイズの基準は、研究における議論をする上でも重要である。対象木があまりにも大きい場合、測定データからは稚樹や実生段階での現象を捉えることはできない。当たり前のことだが、サイズが小さい個体の動態が重要な意味を持つ研究では、対象木のサイズの基準をできるだけ小さくする必要がある。
さらに、対象となる調査プロットのサイズにも注意が必要である。私の経験から例を挙げると、種数は異なる面積の調査プロットやモデル間で比較することは適当ではない。なぜなら、種数は、調査プロットの面積の拡大に伴い増加するためである。もちろん、調査プロット間で面積の異なる場合も同様である。
2009年06月19日(金) 17:59:53 Modified by smilecivic8029
