あなたの好きな漫画をひとつ挙げてください。と頼まれるとする。
僕は多分、大いに悩んだ末、高い確率でこの作品の名を挙げるだろう。
そこに詰まっているのは、たわいもない少女の日常。
そこに詰まっているのは、「漫画」をつくる、という異能を巡る人々の葛藤、逡巡、欺瞞、打算。
ときには美しく、時には醜い、それゆえに輪郭のくっきりした「人間」たちがそこには描かれている。
途轍も無くしなやかで麗しい描線に全てはふちどられ、頁の中に、世界があるがままに浮かびあがっている。
僕は、この作品を愛した。
僕は、この少女に憧れた。
残念ながら、この作品は完結していない。
そしてこれからも完結することは決してない。
作画を担当した木崎さんは、もう既にこの世界にいない。
惜しまれる才能、というものがこの世にあるならば、おそらくそれは、このような形をしているのだろう。
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