ジャンとリコの青い空 //リコ,ジャン,ラバロ
 //ツマラン◆TJ9qoWuqvA // //,Snippet/,General/ 5363Byte / Text// 2004-11-14


ジャンとリコの青い空


下町でひっそりと営業する、さびれたホテルに逗留を続けていたラバロは数枚の

書類と写真を鞄にまとめ、外出した。

「お食事は どうなさいます?」

フロントで番をする老婆が、しわがれた声で、出かけるラバロの背中に尋ねた。

「夜までには戻る 夕食は用意しなくていい」

公社を告発する資料を俺が持っていることに、もう公社の連中は気がついているだろう。

自分の所在を把握される前に、これをマスコミに引き渡せれば、俺の勝ちだ。

いや、勝ったところで、命は無いだろうがな。



路面電車に始まり、乗り合いバスと徒歩で、落ち合う約束の場所へと向かう。

あの橋を渡れば、記者と接触する場所に指定した駅前のカフェーまで5分とかからない。



カツン カツン カツン 長い陸橋を3分の1ほど進むと、陸橋下の歩道へと降りられる

階段があるところから、一人の子供が上がってきた。見覚えがある背格好だ。

「・・・リコ」 

ラバロが気づいた時にはもう、リコはラバロが突く杖を蹴飛ばし、間髪入れずに胸倉を掴

んで目標の人物を担ぎ上げた。陸橋の向こう側から、猛スピードを出して走る乗用車がやって来る。

リコはタイミングを見計り、その乗用車の前にラバロの体を投げ込んだ。

バムッ!

ラバロの体は地に落ちる直前で、乗用車のバンパーに弾き飛ばされた。

反対車線との間を隔てる分離壁に頭から激突し、側頭部を割られて即死する。

乗用車はバックでラバロの死体のところまで戻り、中からスーツ姿の男が降りて、

ラバロの死体を写真に撮ると、乗用車に乗り込んで走り去っていった。



リコは車が走り出すところまで見届けてから、昇ってきた階段を降りていった。

昼食時に、ジャンさんと一緒にラバロのテーブルへ同席したことを思い出した。



ジャンは公社へ戻る前に、リコを連れてレストランに入った。

「好きなものを食べていい」

そう言うと、リコはしばらくの間メニューを眺めて、料理の写真を一つ指差した。

「ホットケーキ 食べてもいいですか?」



運ばれてきたホットケーキに蜂蜜と生クリームをかけて、リコは小さく切ったそれを

ほうばる。ジャンはコーヒーのカップを手に持ち、窓の外の夕日が差す街を眺めた。

「クラエスには 何も喋るなよ」

リコの口元についた生クリームを、ジャンが親指でぬぐい取る。

「むぐ…(ゴクン)はい」

ぬぐったクリームをなめて、ジャンは紙ナプキンで指をぬぐった。

(また親しい人間を殺してしまった 嫌な渡世だなあ)


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