ようこそ…!ようこそっ…!よくきた…よくきたね…!グフッ…グフフッ…!


【70点突入イベント】
敬老の日を過ぎたある夜のこと、久々に社長母から電話がかかってきた。
孫一同(社長の兄姉の子供たち)が自分と社長父宛てにギフトを送ってくれたのだそうだ。
肩当て付きパジャマをお揃いのデザインで貰ったのだと嬉々として報告する社長母。

「…それは良かったざんすね」

微妙な顔つきの社長。 そしてこういう親族の話となると
決まってあの台詞を聞かされることも承知していて、少々眉をひそめている。

「あの子たちも忙しいから可愛い孫たちにもなかなか会えないのは仕方のないことだけれど、
それにしても誰かさんの孫の顔はいつ見られるのかしら…」

「お母さん…、」

胸にチクチクくる長話に区切りをつけるべく、わざと声高に呼びかける社長。

「まだ込み入った用事も残ってるざんすから。もう夜分遅いことだし、これで失礼するざんす」

そう言って受話器をゆっくり置く社長。

「社長のお母様、お元気そうで何よりですね」

いつの間にか自分の横側に佇んでいたパジャマ姿の主人公。
社長の目を見つめながら穏やかに微笑んでいる。
社長は何も言わずにただじっと主人公を見据えている。
気に入ってしまったので買いましたwとある日唐突にパジャマを新調させられたのだが
主人公も自分と同じデザインで色違いのものを着ているのだった。

「どうされました?社長」

「何でもないざんす」

ふいと視線を逸らす社長。

「わしはまだ所用があるから。お前は先に部屋に行って待っていろ」

「……!」

主人公はその言葉に思わず目を瞠るとなぜか小声で社長に問いかけた。

「あの、お部屋って…ひょっとして……」

「バカッ…!察しろ……っ!!」

羞恥の念を押し隠すような社長の怒声。

「わ、わかりました、では……」

と階段を上がっていく主人公。パタパタと小走りする足音が遠ざかる…。

「まったく……」

まるでタバコの煙をたなびかせるように大きい息を吐く社長。

「ああまで鈍いと、先が思いやられるざんすね……」

いかにも辟易したような呟きを漏らすが、
なぜか社長の口調は明るく、大きな口元は僅かに綻んでいるのだった……。

【70点固定イベント】
ホワイトデーも間近に迫ってきた頃のこと、
以前外回り営業時にバレンタインチョコを貰っていた社長が
お返しを選ぶのに主人公を付き合わせる。

洋菓子コーナーで可愛らしいケースに入ったホワイトデーギフトを色々見たあと、
同じ種類のものをいくつかラッピングしてもらう。
服飾小物とクッキーの詰め合わせ入り…。

(ひょっとして自分のも同じのだったりして?
…ううん、そんなことはない。少しは社長に自分の思いが伝わっているはず…)

ホワイトデー当日。取引先の女の子たちには前日訪問した時に渡したようだが、
今日社長が自分にくれるか気になりそわそわしてる主人公。
おかげで仕事もミスの連発でその度に社長の叱責が飛ぶ。

「気を引き締めて仕事するざんす!」

しかし帰宅した後も一向にホワイトデーのお返しをくれる素振りを見せない社長…。
催促する勇気もない主人公は、だんだん気分が落ち込んでくる。

「…何を昼間からぼんやりしてるざんす?」

いつの間にか自分の横に社長が立っていた。

「社長のお返しが貰えるか気になって…」

ついポロっと口に出してしまった。

「これのことか?」

見せてくれたのはこの間纏め買いしてたお返しのギフト。
他の子のものと同じだった事にショックを受ける主人公。

「渡すつもりだったが、一日中そんな浮ついた事を考えて
仕事もまともにこなせない様な女にはやれないざんすね…」

「もしどうしても欲しかったらわしと勝負するざんす。勝ってわしから奪ってみろ…!」

トランプを取り出してポーカーでの三回勝負を持ちかける社長。
自分から二勝したら渡してくれると言う。
二重に悲しくなる主人公だが、そう言われたら引き下がることなどできない。
皆と同じものでもいい…やっぱり社長から貰いたいのだ…。

こうしていつになく本気で勝負に挑んだ主人公だが、
その道のプロである社長にはやはり敵わず3連敗。

「じゃあこれはなしざんすね」

とギフトを引っ込められて主人公はうなだれてしまう。

「でもまあお前なりに健闘していたから、おまけでこれをくれてやるざんす」

代わりに大きな手提げ袋を突き出す社長。思わぬサプライズに目を丸くする主人公。
大喜びで社長にお礼を述べ包みを開ける。
中から出てきたのはクリアなピンクの香水瓶…
と、可憐なレースをあしらったランジェリーのセット…。

「あ、そうそう。ゲームに負けたペナルティとして、今度のデートにはそれら全部つけて来るざんす」

「当日ちゃんと確認させてもらうからな…」

と付け加える社長。

【70点固定イベント】
お風呂場に主人公を呼ぶ社長。
何事ですかと脱衣所に行くとお風呂から上がった社長に、

「鉄雄君のご機嫌が良いようざんす。シャンプーをお願いするざんす」
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と命じられた。ベビーバスを準備してお湯を張り、シャンプーを泡立てる。
バスタブのふちに座ってゴロゴロ喉を鳴らしている鉄雄君を抱き上げベビーバスに浸ける。
シャンプーを鉄雄君の全身に廻しかけ社長と2人がかりでシャンプーする。
目にお湯をかけないようシャワーですすぐ。リンス液を毛皮に揉みこみ流す。
社長はシャンプーの間、普段主人公にはかけたことの無いような優しい口調で
シャンプーに飽きはじめた鉄雄君をなだめている。すすぎが終わると、

「お前もついでに風呂にはいっておけ」

バスタオルを広げた社長が鉄雄君を包んでリビングへ運んでいく。
風呂から上がり、リビングへ行くと社長がソファで鉄雄君の耳掃除をし、
目薬をさしてやっているところだった。仕上げのパウダーを毛皮に擦り込むと、

「美人さんの出来上がりざんす。」

と鉄雄君に話しかけている。いつもなら水を運び、髪を乾かすお手伝いをするのだが、
なぜか悲しくなって、離れたアームチェアに座ってしまう主人公。
鉄雄君を床に下ろしてやった社長に

「どうしてそんなところに座っているざんす。」

と何気なく訊かれたので、つい鉄雄君ばっかり…と口に出してしまった。

不思議そうな顔をしている社長。
鉄雄君ばっかり。抱っこして、拭いて上げて、耳掃除して目薬指して…
最後には涙声になってしまう主人公。
こんなこと言うつもりないのに…。私何を言っているんだろう。
恥ずかしくなり顔を伏せ、両手で顔を覆った。

「アホらし…」

ボソッとつぶやく社長の声が上から聞こえた。

「まず、抱っこざんすか?」

イヤイヤと首を振っているのに膝の裏に手が差し込まれ、背に腕がまわされる。
数歩歩いてソファに下ろされた。

「次は耳掃除…」

隣に腰掛けた社長が強引に主人公の体を倒し頭を膝に載せる。
恥ずかしくて耳をふさぐも、

「どけるざんす。鉄雄君と同じがお望みざんしょ?」

と、手をはずされ、綿棒が主人公の耳に…。

「じっとしているざんすよ」

「綺麗なようでなかなか…」

顔の向きを換えられ、堪忍してくださいと必死に訴えるが、

「鉄雄君と同じことざんす。お前が望んだことざんす」

と容赦してくれない。テーブルに置かれた綿棒が恥ずかしくて、
立ち上がって捨てに行こうとするのに、ソファに引き戻され肩を両手で押さえらた。

「次はなんざんす?」

どんな考えでお訊ねだろうと想像すると怖くて目が開けられない主人公。

目薬ですとやっと答えると、

「涕焼け防止の目薬ざんすよ…」

と、暖かい湿ったものが主人公の瞼をなでる…。
ハナの横を降りてきたものが顔を離れた。
戻ってきた鉄雄君が社長の背中をカリカリしている。
じーっと見られているのが息苦しくなり、逃げようとする主人公に、

「お前は黙ってわしに抱かれていれば良いざんす。鉄雄君も黙って抱かれていたざんす」

耳元で囁く社長…。

「最後に背中ざんすね…ここにあるか?」

………。赤くなって答えられない主人公。

「部屋ざんすか?」

知りません…。小さな声で答えると、ひょいと身体を持ち上げられ部屋に連れて行かた主人公。

翌日、鉄雄君の朝ご飯が獣医へ行った時のご褒美“ちょっと高い缶詰”になっていた。
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【70点固定イベント】
外回りをして事務所に帰ってきた社長。
手に持った大きな紙袋にチョコがたくさん入っている。
バレンタインの特別企画でお客様に配るのかと思った主人公、
尋ねてみると全部社長が貰ってきたものだという…。
思わずものすごい目で社長を睨みつけてしまう。

「取引先に女性がいたらよく手土産に菓子を持って行くから…。
これはタダのお礼…、ぎ、義理チョコとかいうやつざんすよ!!」

「それにしてはいくつか手作りらしいものも混じってますが…、
あとこれなんかすごく高いやつですよ?高級品です…」

「知るかそんなこと!と、とにかくこれは全部お前らで食べるざんす…」

従業員に紙袋を押しつけて逃げるようにメインフロアに行ってしまった社長。
妙なメッセージカードでも付いてやしないかと念入りにチョコを調べる主人公。
と、そこに来客が。誰かと思ったら社長のお姉さんだった。
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「姉さん…。毎年毎年わざわざ来なくても…。それにわしは甘いものは…」

「こういうものは心が大事なのよ。はいこれ。あとこれはお母さんから」

「はぁ…。まぁ、ありがたく頂くざんす…」

「…どういたしまして。ところで隆、あなたもう40ね。そろそろ結婚…」

「……毎年毎年飽きもせずよく同じ話ができるものざんすね…」

うんざりした様子でお姉さんからチョコを受け取る社長。

「今年はお見合い写真は持ってきてないわよ…。だって…ねぇ…?」

意味ありげに主人公の方を見るお姉さん。
横を向いて不機嫌そうに煙草を吹かす社長。
良く似ている姉弟だなあと社長とお姉さんを見比べる主人公。

帰り際、主人公にこっそりデパートの紙袋を渡していったお姉さん。

「お母さんが孫の顔を早く見たいと言っているのよ…。あなた頑張ってちょうだい」

包みを開けてみると中から高級そうなセクシーなネグリジェが……。
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帰宅後、主人公からももちろん手作りチョコを貰った社長。
やはり食べないわけにはいかないと意を決して口にしたが…。

「何ざんすかこのチョコはっ…口がヒリヒリするざんす!」

「唐辛子パウダーをアクセントに効かせたピリ辛チョコです。
ただ甘いだけだと社長になかなか食べてもらえないと思って…」

「アクセントだと?バカも休み休み言うざんすっ!
一体どれだけパウダーをっ?味見はしたのか!?」

「いえ、私あまり辛いのは…」

「このバカーッ!!分量ぐらいちゃんと…イタタ…、唇まで腫れてきたみたいざんす」

「そうですか?いつもぐらいの厚ぼったさに見えますけど…」

「お前な…」

「でしたら、失礼ながら確認させてもらっていいですか?」

は?と言いたげな社長の顔に、
愛おしさを込めた目線を注ぎながら爪先立ちをする主人公……
しばしの沈黙の時が流れる。

「…な、何ざんすかいきなり!そんなことで腫れ具合がお前に判ったとでも!?」

「すみません、やっぱり判りませんでした。私の背ではちょっとしか届かなかったので…」

もじ…もじ…しながら顔を赤らめる様子に溜息を付く社長。

「仕方ないざんすね。なら…はっきり判るまで確認してみろ。鈍いお前でもこうすれば…」

そう言って、今度は社長が主人公と折り重なるように徐々に顔を被せていく…。

【70点固定イベント】
大晦日も元旦も縁のない人達がいる。
そんなロクデナシの為に裏カジノは正月仕様で今夜も開店。
昼間の大掃除の後、今夜の営業について従業員に檄を飛ばす社長。
主人公にも容赦は無い。散々今年のダメ出しをされへこみかける。

午前0時が近づく頃、
カウント・ダウン用のシャンパンの在庫が足りないと社長が言い出した。
おかしい。先週充分用意しておいたはずなのだが…。
とにかく2人で近所にある深夜営業の酒屋に向かうことに。
エレベーターに乗り主人公が1階へ行くボタンを押す。
しかし急に社長がボタンをキャンセルして屋上へのボタンを押した。
いぶかしむ主人公をエレベータの壁に両手で囲い込んで黙らせる社長。
屋上に着いた。満天の星空に見とれて思わず立ちすくむ主人公。


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「ほれ、ぐずぐずするな。時間がないざんす」

腕時計を見ながら社長がせかす。一体何のことやら…。
外に出ると突然社長に抱きしめられた!!

「年が明けたらすぐに店に戻るざんすよ…」

社長の腕の中で年が越せるなんて…。そっと目を閉じる主人公。
二人の吐く白い息が混じり合い冬の夜空に昇って溶けてゆく…。
どこかで除夜の鐘が鳴るのが聞こえる…。
シンデレラだったら魔法が解ける時間ですねと笑う主人公。

「わしに借金があるのに裸足で逃げたら許さないざんすよ…」

主人公の顔を引き寄せ、さらに強く抱きしめる社長…。
  ・
  ・
ほんの1、2分の出来事だったが主人公には永遠に感じられた。
店に戻るとまたいつもの一日が始まる。忙しく働き回る主人公。
今夜は大入りだ。社長も事務所と店内をバタバタと往復している。

就業後。なんと社長が皆にお年玉をくれるという!
どよめく事務所。空から槍でも降ってくるのではあるまいか?
次々に社長にお礼と新年の挨拶を述べ帰っていく従業員。
事務所に二人きりになると社長がシャンパンを持ってきた。
二人でグラスを傾ける。社長あけましておめでとうございます。

「今年もキリキリ働くざんすよ。ほれ。お前の分だ」

主人公に渡されるポチ袋。何やらジャラジャラ音がする…。
あけてみると五円玉、五十円玉に混じって指輪が一つ…。
これはもしかしてダイヤでは?ハッとして社長の顔を見る主人公。

「形が似てるから間違えたみたいざんす。さ、もう帰るぞ」

【70点固定イベント】
最近占いに凝りだした主人公。雑誌の占いコーナーに一喜一憂。
パワーストーンやら風水やら、紅茶占いなんてのにもハマっている。

「また妙なものに懲りだしたざんすね…」

あきれて傍観している社長。しかし被害(?)は次第に社長にも及んできた。

「今日の社長のラッキーカラーは青だそうです」

などと毎日ネクタイやハンカチの色を主人公の占いで決められる社長。
しまいにラッキーアイテムはうさぎのぬいぐるみなどと言い出して、
社長の部屋の机の上にミッフィーのぬいぐるみを置いて怒られた主人公。

「いいかげんにするざんすよっ……!!」

リビングでしょんぼりしている主人公の背中を見て動揺した社長。
もしかして泣いている…?慌てて声をかけると、抱きつかれた。

「社長っ…!私たち星占いで相性最悪だそうです…。えーん!」

テーブルの上には占いの本が。まったくこたえてない。

「…………ったくしょうもないことで泣いたりするなバカっ…!
いいざんすか?引力云々と言うなら母親以外に出生時に一番近くにある
分娩台や産科医が運命を決めることになるざんすっ…!」

「あと血液型の相性も悪くて…」

「血液型分類法がいくつあるか知ってるか?凝固する成分だけざんすよABO型分類は」

「ついでに名前の画数的にも…」

「漢字以外を使う国は無視ざんすね」

「…………」

「くだらない占いで泣くくらいならわしの偉人占いでも試してみるか?。よく当たるぞ」

「…何ですかそれ?」

「ちょっとお前の財布を貸してみるざんす」

言われるままに自分の財布を社長に渡す主人公。
その中から一万円札を取り出してじっと見つめる社長。

「この福沢諭吉の顔色は悪い。今日のお前の金運は最悪だと出ているざんす」

真剣な表情で主人公に伝える社長。さっきは占いを全否定してたのに…。
しかし金の亡者の社長に言われると何だか説得力が…ある……?

「そ…、そうなんですか」

「無駄遣いに気をつけるざんす」

「わかりました」

「ではこれは見料としてもらっておくざんす」

そう言うなり占いに使った一万円札を懐にしまってしまった社長。
確かに占いは当たったようだ…。

「大体男女の相性なんて占いごときで何がわかる?これだから女は…」

「でも……」

「そんなに知りたいんだったらわしがじっくり教えてやろうか?」

「え…?」

突然ぐいと体を抱き寄せられ、首筋に唇を押し付けられた主人公。
社長の胸の中でジタジタするが逃がしてくれない。

「どこへ行く?まだほんの入り口…、わしの占いはまだ始まったばかりだぞ…」

「こんな中途半端は許さないざんす…。ここからが本番…、逃がさんぞ…」

【70点固定イベント】


   恋猫の恋する猫で押し通す

               永田 耕衣


ひな祭り。日が落ちて外ねこの鳴き声がする。
夕飯は、散らし寿司に菜の花のおひたし、ハマグリの潮汁。イチゴのケーキ。

「女・子供の食べ物ざんす…」

和室の卓でぼやきながらも主人公の手料理に箸をつけてくれる社長。
甘い酒は好みではないのに、注がれるままに白酒を飲み干す。
鉄雄君が社長の膝によじ登り、甘えた声を出す。
主人公に猫じゃらしを持ってこさせて、鉄雄君と遊ぶ社長。
社長に贈られた7段飾りのお雛様を後ろ向きに置き直しながら、

「女の子のお祝いなのに鉄雄君ばっかり…」

「この仔は一生わしの娘ざんすから、かわいいのは当然ざんす」

「婿はとらないざんすよ」

「嫁に行かなきゃ良いんですね」

後ろ向きに置いたお雛様を次々また正面に向ける。

「かかっ…嫁に行くあてがあるざんすか?…」

社長が雛壇の前に立っている。

「何を怒っているざんすか?」

「…………」

また、外猫が鳴いている。

「恋猫ざんすね、恥も外聞もなく好くあれだけ必死に啼けるもの…」

「私もネコになりたいです。」

「何を…馬鹿げたことをいってる…」

「見られていると落ち着かないざんすね」

社長がひょいひょいと雛人形に後ろ向かせる。
   ・
   ・
   ・
「…………」

「これでもネコになりたいざんすか?」

返事はない。

【70点固定イベント】
ホワイトデー数日前、社長におつかいを頼まれた主人公。

「お前にまかせるから20個ほど菓子を買ってくるざんす」

「随分たくさんチョコを戴いたんですね…」

「ヤキモチもいい加減にするざんすよ…」

「社長、私の分は?」

「お前のは別に用意してあるから…、いいからさっさと行ってこい!」

「は〜い」

一体何がもらえるんだろう?ホワイトデーが楽しみな主人公。
それにしても社長は結構女性にもてる…。

(社長、話も上手いし、お世辞も得意だからなぁ…私は言われたこと無いけど…)

どこぞの受付嬢を口説いている社長を想像してしまい少し落ち込む主人公。
嫌な想像を振り切るように走り出す主人公。自分だけは特別…だと思いたい…。
     ・
     ・
     ・
そしてホワイトデー当日。主人公はワクワクソワソワ。
仕事に出る社長のネクタイを締めながら微笑みかけるが社長はそっけない。

「何ざんすか、変な顔をして…。ああそうだ鉄雄君、鉄雄く〜ん!」

「ニャ〜ァ?」

「鉄雄君、ホワイトデーざんす。わしからプレゼントざんすよ」

そう言って鉄雄君に新しいチャームをつけてあげる社長。

「よく似合うざんす〜。また女っぷりが上がったざんすね鉄雄君」

「…鉄雄君からもチョコをもらったんですか?」

鉄雄君にはあまあまなんだから…。猫にまでヤキモチを焼く主人公。

「鉄雄君はからは毎日元気をもらっているざんす。
それにわしの嫌いな甘いものを無理矢理食わせたりしない可愛い子ざんす」

「…それは悪うございましたね」

「ふくれてないでとっとと支度をする。店に行く時間ざんすよ!」
     ・
     ・
     ・
今夜は客の入りが良い。モテない男が大挙して押し寄せてるのだろうか?
社長も忙しそうだ。主人公もホワイトデーのことなど忘れて仕事に励む。
そして日付が変わる頃、急に社長に屋上に連れて行かれた主人公。

「ほれ、忘れるところだったざんす」

宝石箱を渡された。アンティークのようだ。蓋を開けてみると中身は空っぽ。
がっかりする主人公。その様子を面白そうに眺め、ポケットから何か取り出す社長。

「今年はこれざんす」

プレゼントの包みを見て大喜びする主人公。渡してくれるものと思っているのに、

「いらないざんすか?」

と、しまってしまおうとする社長。慌てた主人公が受取りに近づくが、
社長は手を揚げたり、後ろに回したりしてなかなか渡してくれない。
夢中になって社長に近づき過ぎる主人公。

「カカカッ…、降参ざんす」

渡してくれようとした社長に抱きすくめられて、形勢逆転。

「まったく…割りにあわんざんすよバレンタインなんて…。
こっちが貰ったのはただの菓子なのに…。わけの分からん制度ざんすよ」

主人公の首にネックレスをかけてやりながら愚痴る社長。

「差額は帰ったらたっぷりいただくざんすよ…。覚悟しとけ」

【70点固定イベント】
夏。帰宅した社長を玄関で出迎えた主人公と鉄雄君。

「お土産ざんす」

なんと蛍が入った虫かごだ!!大興奮する鉄雄君。

「それは食べ物じゃないざんすよ鉄雄君…。
そうそう、昼間電話で頼んでおいたことはやっておいたか?」

「はい、社長の言いつけ通り全部すませておきましたが…、
でもあんなもの一体何に使うんですか社長?」

「カカカ…、夜になってのお楽しみざんす…」

「……?」

夕食後、風呂上りに縁側で冷酒をあおる社長。
社長の浴衣姿が珍しいのか鉄雄君が裾をかじっている。
そんな様子を見ながら和室に昼間干しておいた布団を敷き、
物置にしまってあった古い蚊帳を吊るす主人公。

「社長の指示通り昼間きれいにしておきましたが…、
前に住んでた方はよくこんなものとっておいたものですね」

「この家に引っ越してたとき見つけてな…、
古道具屋にでも売れるんじゃないかと捨てないでおいたざんす」

「でも今夜はこの部屋で寝るのはいいとして…、
網戸を閉めれば虫なんか入ってきませんよ?蚊取り器もあるし…」

「虫が入ってこない為じゃなくて、虫が逃げない為に使うんざんす」

「……?」

「いいからお前もさっさと風呂に入って来い。
このあいだ買ってやった浴衣を着てくるざんすよ。
お前なんかでもあれを着れば多少色気が出るんだから…」

(……社長はやっぱり和服が好きなのかな…。
今度こっそり着付け教室に通ってみようかな…。
着物で帰りを出迎えたりなんかしたら社長どんな顔するんだろ…)

そんなことを考えながら湯船につかる主人公。
湯上りに桃の香りの香水をつけてみた。
縁側に行き浴衣姿で社長にお酌をする。上機嫌な社長。

「思い出すざんすね…。あれは確か小学4年か5年の頃だったか…、
向かいの家に当時高校生の小娘がいてな…。
いつだったか夜に蛍がいるから見にこいと呼ばれたんざんすよ。
縁側に腰掛けたわしに浴衣姿の小娘がサイダーを注いでくれてな。
見慣れない浴衣姿が子供心にやけに綺麗に映ってなぁ……」

酔った社長が語る初恋物語に少しヤキモチを焼いた主人公。

「社長なんかにでもそんな美しい思い出があったんですね」

「どーいう意味ざんすか、それは」

「いや…別に…。あっ!蛍を庭に放して飛んでいる所が見たいです」

「六匹しかいないんだぞ。すぐに隠れて見えなくなってしまうざんす」

「そうですねぇ…」

「そのためにアレを用意させたんざんすよ。どれ、そろそろ放してみるか」

そう言うと虫かごを持って主人公が吊った蚊帳の中に入った社長。

「電気を消してみろ」

社長に手招きされて蚊帳の中に入る主人公と鉄雄君。
暗闇ににフワフワと夢のように漂う光の粒に見とれる…。なんて綺麗…。

「どうだ。これならいいだろう」

「その『初恋のお姉さん』ともこうして蛍を眺めたんですか?」

「お前のヤキモチ焼きは筋金入りざんすね…」

蛍を追い掛け回すのに疲れた鉄雄君が眠ってしまったようだ。

「少し着崩れしてるぞ。浴衣くらいまともに着れるようになるざんす」

「すみません。直してきます…」

「その必要はないざんす。どうせもっと崩れるんだから…」

立ち上がろうとする主人公に社長の手が伸びてきた。
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