ようこそ…!ようこそっ…!よくきた…よくきたね…!グフッ…グフフッ…!



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社長とお中元の品を買いにデパートに来た主人公。
注文・発送の手配を済ませると早々と帰ろうとする社長だが、
二人でのお買い物デートを楽しみたい主人公は水着を見てみたいです、と熱望する。
ちょっと渋ったものの「ちょっとだけだぞ?」と社長。
二人でレディース水着の売場に足を運ぶ。

「わあっこれ可愛いです!あ、これも素敵…!」

キャッキャッとはしゃぐ主人公。

「社長…いくつか試着してみたいんですけどいいですか?」

【50点以下】

「お前、金も持ってないのに着てみてもしょうがないだろう?帰るぞ」

【50点以上】

「30分やるざんす」

試着の時間をくれるが、売場を離れて喫煙ルームで一人時間を潰す社長。
選んだ水着は結局社長に借金をして買うことに。
(帰り道に今度どこかに泳ぎに行きませんか?と必死に誘う主人公)

【60点以上】
主人公が使用しているフィッティングルームのすぐ横で待っていてくれる。
着替えるたびにお披露目する主人公。どの水着姿にも「ああ…いいんじゃないか?」
と言ってくれるが、なぜかうつむき加減のまま直視してくれない。

【70点以上】
試着中に水着のホックが取れなくなってしまって焦る主人公。
カーテン越しに顔を出して社長に外してください、と呼びかけるが

「バカッ!こんな所でできるかっ…!!」

怒鳴られるが女性ばかりの売場内で長い事待たされるのが気恥ずかしい社長。
何と人目につかなくなったタイミングを見計らいフィッティングルームに入ってきた!
仰天した主人公が声を上げそうになるとすぐさま顔を被せる社長。
しばらく口止めして落ち着かせたあと、たやすくホックを外してしまう。

「で、わしはどこまで手を出せばいいざんすか?」

そうこうしている内にまた水着売場に人が入ってきたため
さらに数十分もの間フィッティングルームから出られなくなってしまった二人であった。

【50点固定イベント】
外回りからお店に戻ってきた社長。
天候は良かったものの日中強風にさらされていたため、自慢のヘアスタイルがさんざんなコトに。
季節柄かここのところ風が強い日が続くので 社長の髪をブラッシングするのが日課になっている。
足を組んでイスに腰掛けている社長。
今日の営業の成果、伺い先のお客さまの愚痴やらを笑いを交えながら語りかけてくれる。
社長の後ろ髪に顔をうずめたくなる気持ちを抑えながら
綺麗に波打つウェーブを壊さないよう髪の毛のもつれをほどいていく。

「社長、夜の食事は何にしましょうか?」

「まーたそんなことを言ってるざんすか?だったらもう少しメニューのレパートリーを増やさんか。
お前の出す料理に飽きないようわしが舌を合わせてやってるざんすよ?」

「そうですね、分かりました」

「まあ特に思いつかないから、お前の好きにしていいざんす」

少し櫛を入れすぎたようだ。緩く伸びてしまったカールを右手人差し指に数回巻きつける。

「…思いついたざんすか?」

クルンと毛先が跳ねて細かいうねりが復活する。そう、まるで……、

「じゃあ、今日はラーメンにします」

「またざんすか!!?」

【70点固定イベント】
近所のスーパーに買い物に出かけた主人公。帰宅するとうきうきした様子で報告。

「社長、お店で福引をしたらこんな物が当たりましたよ」

「3等の5000円分の宝くじ券です。
今までこういうの当たったことがなかったのでビックリしました」

「はぁ?当たりくじを手に入れたわけでもないのによくそんなに喜べるざんすね…。
当選確率がどれぐらいのものだか分かっているざんすか?」

「夢を買うっていうぐらいですからね。でもひょっとしてひょっとするかもしれませんよ?」

というような会話がありながらも大して気にも留めていなかった社長。
しかし主人公は結構な本気で当選を夢見ているようだ。
それから毎日宝くじ券を招き猫の刺繍の付いた黄色の袱紗に入れて大事に持ち歩き、
出勤すると事務所にある招き猫の下に袱紗を敷いてはナムナムと祈っている。

(まさか本当に当たるとは思わんが…。
もしもコイツが背負っている借金額を超える高額配当を得ることになったら…)

だんだんと複雑な心境に駆られるようになってきた社長…。
そしてさらに幾日かたったあと。
その日はちょうど休みで深夜遅くまで勤務していた社長はお昼近くに目を覚ました。
軽くシャワーを浴びキッチンに入ってくる。
テーブルにはブランチが用意されており、その横には置き手紙が。

“銀行に出かけてきます”

「銀行…?」

借金のある身でまだおろせる金が口座に入ってるのか?と思いながら
何の気なしにドアの方に何気なく目をやる社長。
その近くの壁に飾られているカレンダーを見た瞬間、ああっと声を上げる。

「“宝くじ当選発表”って…今日ざんすか!?」

今日の日付にマジックで大きく囲んである。
急いで新聞紙を広げると○○ジャンボ宝くじの当選番号が掲載されている。

「チェック…チェックがしてあるざんすね…?これは……げぇっっ!!!!」

なんと1等前後賞の5000万円!

(当選金を受け取るために一人で銀行に出かけたということか…!)

一抹の不安が現実になり慌てふためく社長。
次の瞬間には主人公の携帯番号をプッシュしていた。

RRRRR…

「はい。…社長?」

「今どこだ?銀行か?」

「どうしたんですか急に」

「新聞を見たざんす。お前宝くじで5000万円が当たったって本当か?」

「え?」

「…まさかその配当金でわしへの借金を全額返済しようと思っているんざんすか?」

「………!!」

息を呑む主人公の気配を感じ取ると、畳み掛けるように言葉を続ける社長。

「そんなお金は認めないざんすよ。
日頃から汗水流して勤勉に働き手にしたわけでもない、
ボウフラのように湧いた泡銭…!そんなものわしは一切受け取らないざんす!!」

「早々と返済を終わらせ自由の身になろうなんて浅はかな考え…
そう簡単にお前を手放すものか…!
わしからやすやすと逃げ出せると思ったら大間違いざんすよ!!」

「そうですか。…では仕方ありませんよね」

玄関のドアがカチャリと開く音がした。
玄関口に出て行く社長。
すると携帯電話でまだ話し中の主人公がそこに立っていた。

「銀行に行ったんじゃないのか!?っていうかお前、手ぶらで…」

「違うんです。銀行には手持ちのお金をくずしたくて両替に行ってました。
500円玉貯金用に枚数が欲しかったんです」

「じゃあ、あのチェックは何ざんすか…!?」

「自分の持っているくじのナンバーに並びが大変近かったので…
何となく嬉しくって印を。全部空くじでしたよ」

「大丈夫です。自分の借金はきっちり働いて社長にお返しします。
それまでずっとおそばに…たぶん一生かかるかもしれませんけど……」

少し赤くなりながらそう告げる主人公。

「……れろ」

「はい?」

「さっきわしが言っていたことはすべて忘れるざんすよ!なーしっ…!」

さっきの会話なんぞ一切なーしっ…!!!」

そう喚く社長の顔もなぜか上気しているようだ。
そんな社長の様子を微笑ましく見つめながら、密かに思っている主人公。

(あの会話、ちゃんと録音しておけば良かったな…w)
        ・
        ・
        ・
後日、生きてるレコーダー、金田君夫妻にこの時の二人の会話を再現され、
社長はしばらく不機嫌でありましたとさ。

【70点固定イベント】
カジノの営業終了後。事務処理も済まして、さぁ帰宅しようとした瞬間に、
空が光り、ゴロゴロと雷鳴が響いてきた。雷が怖い主人公。

「社長、雷落ちてきませんか?」

「車に落ちたとは聞いたことないざんす。帰るぞ」

素っ気無い社長。

「万が一っていうことはありませんか?」

「ない」

「このマンションに落ちるってことは?」

(雷サージ・瞬電対策してあるはずざんすが…)

「避雷針が何のためにあると思っているんだ…」

「庭のヒマラヤスギに…」

「アホらし…」

また、空が光り、今度はさっきより大きな雷鳴がとどろいた。
悲鳴を上げる主人公。

「いい加減にするざんす」

「怖くないんですか?」

「帝愛に払うロイヤリティに比べたら…」

また空が光った。机の下に隠れる。

「こっちへ来るざんす」

ソファに2人腰掛ける。

「いいざんすか?」

また空が光った。雷鳴が響く。

「空が光った後3秒あったざんしょ? まだ雷は1キロ先ざんすよ」

また空が光る。

「1、2、サ」

社長が3秒数える前にバリバリ、バッシャーンと音がした。思わず社長にしがみつく。
舌打ちしながら、社長が主人公を胸に抱え込み、

「静かにしてるざんす」

もう片方の手で頭を押し付けられる。

「これで見えないし、聞こえないざんす」

じっとしているうちに雷が遠ざかっていった。離れようとする主人公。

【70点固定イベント】

「しばらく厄介になるざんす」

社長のお父さんが6月の晴れた日に社長宅を訪ねてきた。

「父さん…どうなさったざんす?」

「母さんのヤツ、今日は美術館、明日は歌舞伎座とわしを放り出して友人達と遊び歩いていてな。
『来週はお友達と旅行に行くから、貴方、留守番お願い』
などとふざけたこと言い出したから、勝手に出かけるが良いって出てきたざんす!」

「母さんもたまには友人と楽しみたいこともあるざんすよ」

「…限度があるざんす…」

「まぁ、良いざんす。気の済むまでいてください」

「○○、父さんの世話をお願いするざんすよ」

「こちらへどうぞ」

社長父を客間に案内する主人公。

「園遊会に隆と一緒においでくださったお嬢さんですかな?」

「一緒に住んでいるんざんすか?」

「隆のカジノは繁盛しているざんす?」

質問攻めにあう主人公。

「どうぞこちらでご自由に」

早々に部屋を出て行く。

夕食後、コーヒーが社長父前に置かれる。

「お茶をもらえるか、お嬢さん?」

「隆、時代劇チャンネルに換えてくれ」

「時代劇チャンネルは契約していないざんすよ…」

「そうか。残念ざんす」

手持ち無沙汰になった社長父が社長を質問攻めに。
社長の足元にいる鉄雄君を見て、

「お前、動物好きだったか?」

「迷いこんで居ついたざんす。放り出すのも面倒で…」

「どうしてカラスなんか飼っているざんす?」

「カラスじゃないざんす。九官鳥です」

「お前達いつ結婚するざんす?」

声も、話し方も似ている親子。段々と混乱してきた主人公。

「お風呂の準備が出来ました」

2人同時に立ち上がる社長と社長父。

「先にどうぞ。わしはあとにするざんす」

「先にご無礼するざんす」

浴室に向かう社長父を見送りながら、

「…しばらく面倒をかけるざんす」

「早く仲直りなさると良いですね」

「…夫婦喧嘩は犬も喰わないざんす…」

風呂から上がった社長父。

「ご無礼した。休ませてもらうざんす」

と客間に消えたそのとき、社長母から、電話が来た。

「お父さん、携帯切ってらっしゃるから…、
『戻ってこないなら今年の分(梅酒)は、先に一人で開けていただきますから』 と伝えてね」

(愛されてなあ)

と思いながら伝令に向かうと、社長父が庭を見つめたまま話しかけてきた。

「隆、もうお父さんとお母さんはダメかもしれないざんす…」

(社長じゃありませんよ…)

「初めて会ったときはまだ女学生で…、
親の借金の取立てに行ったわしは『帰れっ!』って塩まかれたものざんす」

「親の借用証書をかたにして、無理やり嫁にしたざんすよ」

「一回り以上年下で、かわいらしくて…」

「兄さんや、姉さん、お前が生まれて、もう母さんは逃げられないって安心したざんす」

「お母さんの両親がなくなって、わしといる理由はもうないざんす」

「あのう…」

おそるおそる話しかける主人公。びっくりして振り向く社長父。

「奥様からお電話です。
『戻ってこないなら今年の分(梅酒)は、先に一人で開けていただきますから。』
確かにお伝えしました。それから、私だったら好きでもない人の健康のために
手間隙かけて梅酒漬けようなんて思いませんよ」

「………」

鉄雄君が足元に擦り寄ってきた。

「重りなんかつけなくても好きな人のそばにはいたいです。」

一気に言い終える主人公。

「………」

「お休みなさい」
     ・
     ・
     ・
次の日、 面倒をかけたということで社長への手土産に梅酒を持って社長母がお迎えに。

「面倒かけてごめんなさいね。さぁ、貴方、すねてないでお帰りください」

「今度はおそろいでおいでください」

社長と社長父が話している。

「面倒かけたな」

「本当ざんす」

「今度は2人で挨拶に来るざんす」

帰って行く社長父母。社長と二人車寄せから玄関に入る途中で、

「(借金云々は)村岡家の伝統なんですね」

と言う主人公。なにやら苦い顔をしている社長。

【70点固定イベント】

「社長、お茶が入りました」

いつものように濃い目に入れたお茶を社長の机の上に置く。

「ん?ああ…すまんな」

PCから目を離さないで答える社長。タバコの灰が書類の上に落ちそうだ。
社長は最近仕事が忙しく、家に寝に帰ってこられるだけましで、
着替えだけ私にとってこさせて、事務所で寝泊りすることもしばしばだ。
あと一週間もすれば片付くと言っているが、その前に体を壊さないといいが…。
せめて私にできる事といったら…。そっと社長の背後に回る。

「社長、肩をお揉みしましょう」

「いいからお前は先に家に帰って休むざんす。もう遅いからタクシーを使え」

そう言いながらも仕事の手を止め、気持ちよさそうに目をつぶる社長。

「社長と一緒に帰ります」

「遅くなると言うのに…」

「私が帰った後、女の人を連れ込むかもしれないし…」

「何をバカなことを……」

「今朝社長のシャツを洗濯したとき、知らない香水の香りがしたような…」

「……ったく…話にならん」

「社長?」

「今度はなんざんす?」

「社長は結婚されないんですか?」

「まだ墓場に行くには早いざんす」

「私は社長と一緒なら墓場でも地獄でも怖くありませんよ?」

「勝手に行ってろ…。まあお守りぐらいは持たせてやるざんす」

そう言うと机の引き出しを開けて中からなにやら小さな箱を取り出す社長。

「ほれ」

「開けてもいいんですか?」

「お前のだ」

箱を開けてみると指輪が入っていた。どうやらダイヤらしい。キラキラしている。

「まるでエンゲージリングみたいじゃないですか…」

「勝手に解釈すればいいざんす」

「本当は来月のお前の誕生日に渡そうと思ってたざんす」

「だからまだ早いと……、ん?泣いてるのか?筋金入りのバカざんすね……」

【70点固定イベント】
地方のお得意様伺いの途中、川沿いの道を目的地に向かっていると、
“やな”と川原にむけて看板が案内している急拵えの平屋が何件も見える。
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「アユを食べさせる店ざんすよ」

「やなって行ったことないです」

「行ってみるざんすか?」

ホテルに着いて荷物を片付けた後、ロビーに戻りフロントに

「この辺で評判の良い“やな”はどこざんすかね?」

「やな ですか?うちに魚を卸しているところが出しているところがありますが…」

「予約無しでいけるか、聞いてみましょうか?」

「お願いするざんす」

「……大丈夫みたいです。地図を書きますからお待ちください」

やなに着いて店内に入った。大きな生簀が中にあって、中に魚が一杯泳いでいる。

「アユの塩焼き、刺身、田楽、甘露煮、雑炊…どうするざんす?」

全部食べたい と顔に書いてあったんだろう、

「アユ尽くしで1つ、わしは刺身と塩焼きとビール」

「帰りはお前が運転するざんす」

料理はどれも美味しかった。
最後に出された鮎の形を模した菓子まで平らげているあいだ
社長は塩焼きと刺身をビールで流し込んでいた。

「ご馳走様でした。」

外に出たがまだ明るい。

「酔い覚ましに少し歩くざんす」

川原を散歩することになった。

「社長、“ぴゅんぴゅん”って出来ます?」

「“ぴゅんぴゅん”?」

「石が水面を“ぴゅんぴゅん”って渡っていく投げ方」

川原の石を適当に投げてみるけれど、ポチャンと川面に吸い込まれてしまった。

「あぁ…」

社長が石を拾上げ、手首を利かせて投げると、
ひゅんひゅんと水を切りながら 向こう岸まで石が渡っていく。
社長の投げ方を見よう見真似でまねしてみるけれど、石は水を切ってくれない。

「石の選び方ざんすよ、なるべく平たい石を選ぶざんす」

拾上げた平たい石を渡してくれた。投げてみる。ピョンと1度石が跳ねた。

「上手いもんざんす」

調子に乗って投げ続けていると、

「おじちゃんたち何してるの?」

と可愛い声が背後から聞こえた。

「石投げてるの?ねぇ、おじちゃんが今投げた石、ピョンピョンって跳ねて行ったでしょ」

小さな姉弟がいつの間にか傍にいた。姉は用心深そうに少し離れた場所にいる。

「迷惑でしょ。こっちに来なさい。やなの近くにいなさいってお母さんに言われたじゃない」

「イヤッ」

(このご時世用心しすぎることは無いよお嬢さん)と心の中で同意した。

男同士は何か意気が通じたらしい。男の子がつたない様子で石を投げ始めた。
石は少しも跳ねないが、会話は弾んだようだ。

「何でおじちゃん、“ざんす”なの?」

などと質問し始めている。

やなのほうから「A〜、B〜」と名前を呼びながらこちらに男女が走り寄ってくる。

「ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。」

二人揃って頭を下げられた。母親が女の子のほうへ向かうと、

「こんなに離れたところに来ちゃダメじゃない」

「お嬢さんは、戻ろうって弟さんに注意してましたよ。」

とおねえちゃんの名誉挽回をしてみた。
父親も盛んに社長に頭を下げている。左手首に高価そうな時計が覗いている。
ひとしきり、子守を知らずにさせた謝罪と、
こちらこそ、親御さんの心配に気がつかず申し訳ないといった会話が交わされた。
子どもが社長と遊んでいたことを父親に告げると、

「お父さんも出来るんだぞ」

父親が石を投げて見せた。

「お父さんすご〜い!」

小さな歓声が上がった。

陽が落ち、投げる石も見えなくなったので帰路に着く。運転しながら、

「社長、営業しませんでしたね。」

と訊ねると。

「…ああいう、幸せな男にカジノは無縁ざんすよ…」

と窓の外を見ながら、ふて腐れていた。

ホテルの駐車場係りに車を預け、フロントに向かう。
やなを紹介してくれたフロントマンにとお礼を言う。

「美味しかったです」

「よかったですね」

と嬉しそうな返事があった。
エレベーターに乗り込み部屋に向かった。

「汗をかいた、風呂を準備してくれ……」

先に風呂から上がった社長が冷蔵庫を開け、ビールを取り出して、ソファでくつろいでいる。
髪を拭きながら、隣に座り話しかける主人公。

「良いご家族でしたね」

返事が無い。

「優しいお母さんとお父さんと可愛いお子さん達…」

「…2人…3人は大丈夫そうざんすね…」

缶をテーブルに置き、社長の腕が伸びてくる。

【70点固定イベント】
一日がかりの坊ちゃんとの面倒なお付き合い、何やかやを済ませた社長のご帰宅に
主人公がパタパタと玄関まで出てくる。

「うん、鉄雄君はどうした?寝てるんざんすか?」

いつも甘えるような鳴き声でおかえりを言い、出迎えてくれる鉄雄君の姿がない。

「すっと外出中です。社長と一緒に帰ってくるだろうと思っていたんですけど…」

「少しは気にかけんか。いつから戻ってないんだ?」

ギロっと睨みつける。

「すみません。家の中の事が立て込んでいてつい…もう半日ぐらいはたったかと」

「仕方のないやつざんすねぇ。探してくるか…」

気が急くようにすばやく着替えると再び家から出る社長。外はすでに薄闇に包まれている。

「まさか事故とか…いやいやアレは賢い子ざんすから(親の欲目)
そうでないとしてもいい年の娘が朝帰りなんてもってのほかざんすよ…」

すると遠くからニャーと聞き覚えのある声が。
門の右手側から鉄雄君がゆっくりと歩いてくる。
社長は鉄雄君に駆け寄って抱きかかえると安堵の声を漏らす。

「心配かけるんじゃないざんすよ鉄雄君」

しかし抱っこされた鉄雄君は体をひねって何かをじっと見ている。
気づいた社長が視線を移すと、外灯に照らされ毛並みがちらちら銀色に輝く猫が一匹佇んでいた。
首輪はあるが飼い猫とは思えぬような野性味を孕んでいる…。
底光りする鋭い眼をこちらに向けていたが、ふいに身を翻すと軽やかに立ち去っていった。
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                            ヽ:_;j:〉
「あーその猫ちゃんて銀二君だと思いますよ」

その夜先ほど見かけた猫の話題を社長が口にしたところ、
心当たりがあった主人公はすらすらと語り出した。

「この家の真向いから2軒先のお家で飼われている雄のコ、って言うか…」

「お、雄ざんすか!?道理でいけ好かない面構えをした猫だと思ったざんすよ!
それにしてもお前、以前から知ってたざんすか!?」

「銀二君の飼い主さんとお話したことがありまして。
この間から鉄雄君と仲良くしていて互いの家も行き来してるって。
ラブハントしたのは銀二君らしいですけど、
気風も容姿もあれだけのイケメン猫だし、今では鉄雄君の方も夢中のようですよ」

「こうなったら外出禁止にするざんす。ウチの鉄雄君はもともと箱入り娘ざんすからっ。
あんな輩との交際なんぞ断固阻止…阻止するざんすよ…!」

「そんな風に言わないで下さい社長」

居間の大きい窓から庭の様子をそっと伺う鉄雄君。
恋しい彼が村岡邸の門扉の隙間をくぐって庭の中にまで会いに来てくれるのを待っているのだろうか。

「鉄雄君は基本的には家の中の子ですから。
銀二君のことは好きでしょうけど社長がお家にいらっしゃる時は外に出て行こうとはしませんし、
社長のことだって大好きなんですよ。」

「……」

「あと、パッと見じゃ分かりませんが鉄雄君と銀二君て…」

「歳の差カップルなんですよw銀二君の方がかなり年上で。ちょうど、社長と…私ぐらい離れてるんです」

そう言うとふいに頬を赤らめる主人公。しばらくすると社長の大きなため息が聞こえた。

「ったく、好きにすればいいざんす…。
しかし鉄雄君をアイツにくれてやるわけじゃないからな。あくまでアレはわしの娘ざんすよ?」

「はいはい」

こうして2匹は社長公認?でお付き合いできるようになり、
時おり村岡家にお邪魔してはご飯を食べていくようになった銀二君。
社長は苦々しい顔をするものの嬉しそうに彼のそばに寄り添う鉄雄君を見ると何も言えないらしく

「お前でいいざんす、こっちへ来いっ…!」

と主人公を相手にうっぷん晴らしをすることが多くなるのであった。

(何を相手させられるかは想像におまかせします)
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